名前はトラ子だけど、男だよ~

僕は2016年5月生まれ。日付は分からニャい。だって、母さんがおたふく綿さん(注: 家の裏の工場)の倉庫で出産したから、家の中では育たなかったの。2ヵ月位して、母さんの実家の物置に運ばれ、犬のサクラさんからご飯を貰う様にニャったんだ。
隣の小母ちゃんからもご飯を貰ってたよ。僕を掴もうとして僕に引っ掛かれたんだって…ごめんね。

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僕たちが遊んでるのを二階から喜んで眺めていたのが今の主だった。僕は三匹の兄妹の真ん中に生まれた。一番上の福は可愛いし、社交的でヒトからも好かれるタイプ。白と黒の美猫なんだ。一番ちび助のマル子は、白っぽいキジトラで、一歳半で腎臓を患ってあの世へ逝っちゃったよ。
お腹を減らしていた僕たちに、朝早くにご飯を呉れる様になったのが主で、僕たちは給食の小母さんだ、と思って喜んでいつも走り寄って行ったんだ。一回だけ、僕は間違って主の脚にスリスリしてしまった。間違ってしまった事に気付いて慌てて逃げたけど、主の記憶には僕が確り刷り込まれてしまったみたいだ。
僕は主の家にいたクマ太兄ちゃんに毛並みがそっくりだったんだよ。兄ちゃんの方がずっと長毛で、父さん譲りのフカフカした立派な鬣(タテガミ)の在る猫だった。兄ちゃんも僕たちも、ライオン丸と言う父さんの子供にゃんだ。
ある日、朝ご飯を夢中で食べて居た時、緑色のゴム手袋をはめた手が僕をムンズッ!と掴んだ。僕は怖くて、怖くて暴れたけれど、離して貰えなかった。連れて行かれた二階には大きなケージがあって、僕はその中に入れられた。
僕はケージをワッシワッシと縦横に登って、助けて~、と叫び続けたよ。僕は家族と離れて寂しくて、ケージから物置の屋根で遊ぶマル子に叫んだ。マル子は、「母ちゃん、トラ子があの家に囚われているよ」と言ったけど、母ちゃんは主が僕を連れて行ったのを知っていて、黙って後の福とマル子の面倒を見ていた。「其処の家の猫におなり」と母さんからメッセージが来た。
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先住猫のクマ太兄ちゃん(写真)は、母さんが一年前に産んだ仔だった。初めてこの町に住む事にした主が話し相手に、と40数年ぶりで飼った猫だった。僕は一所懸命にクマ太兄ちゃんに話しかけたが、無視された。それでも、僕はゴロゴロと喉を鳴らし、ケージが開いている時はクマ兄ちゃんの傍に駆け寄って行った。ヒトよりは無視されたって猫の方がずっといい、と思ったんだ。
クマ太兄ちゃんの次にこの家の猫になったから、クマの次はトラだろう、それに、トラ模様だからトラ子になった。子が付くのはヒトの社会では雌の場合のみらしい事を後で知った。主は語呂が良いから子を付けた、と言っていた。隣の小母ちゃんはどうせオカマになるんだから、と言った。オカマ???
主はご飯を毎日2回呉れたよ。表で貰っていたご飯より美味しかったから、残さず綺麗に平らげた。でも、猫にも意地があるから、主にはファ~ッ、シャ~ッと言い続けていた。
ある日、クマ兄ちゃんの後について歩いていたら、また後ろから、今度は素手でムンズッ!と掴まれ、初めて抱っこされた。母ちゃん程の安心感は無かったけれど、ヒトの体温が伝わって来て、僕の意思とは関係なく、体の奥から何故かゴロゴロ音が出てしまった。
次の日からケージのドアがいつも開いている様になった。僕はクマ兄ちゃんが主の足元で寝ているのを見える位置に寝床を構えた。自由だった。兄妹達とも表で一緒に遊ぶことを許された。クマ兄ちゃんを他の二匹も尊敬していたんだ。四匹で遊んだ。にゃつかしいにゃ~。
マル子と福が二階にご飯を貰いに来た。どういう事情があったのか分からないが、マル子が今度はケージに入れられた。福は一階のテーブルの下で寝ていた。マル子がケージに居たのはほんの数日で、直ぐに自由になった。母さんは次の子供を妊娠していたので、もう僕らの面倒は見なかった。
この家に居ればご飯は食べられるし、寒さも外よりは凌げる。だから、マル子もこの家にいる事に決めたみたいだった。マル子は半年間、主にファ~ッ、シャ~ッと言い続けたが、一旦仲良くなるとベタベタの甘えん坊になった。
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最後にこの家の猫となったのが福だった。社交的な福は直ぐに主にスリスリをしたり出来るんだ。僕はそう言うの、苦手ニャんだよニャ…。上は炬燵が入った頃の僕たちの写真。
福とマル子は運動神経は抜群で、主と猫じゃらしを使っての遊びも上手だった。僕だけいつも部屋の隅からジッと皆が遊ぶのを見ていたんだ。昔から気が小さくて、一人遊びが好きだった僕は猫の仲間に入るのも下手、ヒトとの付き合いも下手だった。兄妹からも『トラ子はトロイ!』と思われていた。
そんなある日、僕だけが二階にいる時に主が僕を猫じゃらしで遊んで呉れた。他の猫がいなければ、僕も気後れせずに自由に遊べた。主は僕が遊びが好きなのを確認すると、時々特訓しては兄妹と一緒の遊びに誘ってくれ、僕の方に猫じゃらしを投げてくれた。特訓の成果があって僕は、いつもじゃないけど遊びに参加できるようになった。
その性格は今も変わっていない。皆が部屋の中央で遊んでいる時はベッドの下に隠れ、猫じゃらしが近くへ来るとドッ、ドッ、ドッと全体重を掛けて飛び掛かって行く。すると、主は嬉しそうに声をたてて笑うんだ。
付き合い下手な僕に、主が沢山声を掛けてくれるのは事実ニャンだ。こんな僕を見て福は、トラ子が一番贔屓されている、と勘違いして焼きもちを焼いている。
でもねぇ、捕まえられたトラウマがあるから、表に出たら主と雖も傍には行かない。ヌンヌン!と言って甘えるのは家の中だけだよ。こんな僕だけど主とした約束があるんだ。それはクマ兄ちゃんの分も長生きするっていう事だよ。
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最近の僕だよ。動いたから、一寸ピンがずれちゃったね。
 

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rwu6117@gmail.com

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